りとすら

書きたいことがあんまりありません

へらへらしてろ

深刻になることは必ずしも真実に近づくことと同義ではないと僕はうすうす感じとっていた
―――村上春樹ノルウェイの森

 細かな事柄がちりのように降り積もってしまっていて文化的雪かきをくりかえすだけの毎日に嫌気がさした僕はたび重なる自らの行動の繰り返しに吐き気を催しどうしていいのかわからないと途方にくれながらも、途方にくれる暇もない現実に対して仮想的にではあれ大丈夫だと思い込んでいた。
 思い込んでいた現実は現実ではなくて客観的にみれば上司に「顔が死んでるぞ」と言われ連日に渡って説教をされるかと思えば説教の最中に心配される始末で上司も新卒の僕を潰したくなくて温情をかけているのかもしれないなと思い上司の温かさにほっこりとした気持ちを抱きながらも、所詮は他人だし僕が死んでも上司は苦しまないのだこれはパフォーマンスに過ぎないのだとひねた目線で上司の小さな瞳の中をのぞいていた。


 今になって机の中の引き出しにしまってある社会人になるにあたっての心構えや知り合いからの気にない手紙を読み返していくうちにそのに書いてある様々な物事が真実であるのだということに気づかされてしまってとてつもなくせつなくさびしい衝動に襲われるとともに自分の矮小さと稚拙さを再認識させられるにいたった。



 タフさが足りないのだこれは仕事だという認識が足りないのだ仕事で楽しむって言うことはゲームを楽しむことであって、好きなゲームを遊んでいるんではなくてジャンクボックスから目隠しした状態で購入したカセットをどきどきしながらクリアしなければ死んでしまうようなそんな状況に似ている。



 へらへらいきるしかない。ばーかばーか。