りとすら

書きたいことがあんまりありません

雷雨と富士と

 8月29日の夜に出発するプランに申し込んでいたので、昼過ぎに家を出発して新宿に向かった。それはおろしたてのトレッキングシューズを足に慣らす目的もあって。
 運よく一緒にいく二人からメールの返事が来たので、5時に集合してご飯を一緒に食べて装備を整えることにした。パスタ屋で夕食を取り、コンビニで食料と水分を買い込む。準備完了。


 バス移動2時間で河口湖口の5合目に到着。準備運動をしてから登山開始。必須装備のライトが貧弱だったためか、足もとばかりに気を取られ看板を見逃し。




 深夜の富士山は、真っ暗やみで、そのなかに山小屋の明かりが灯っている。
 なにか巡礼に向かうように、一心不乱に山に取り組む登山客。


 それは一種の宗教的な行為のよう。


 周囲に立ちこめる霧と、近くで瞬く雷雲と雷の音。
 見ることのない光景の中、黙々と進んでいく。雨が激しさを増してくる。
 砂利道が終わり、溶岩むき出しのなかを両手で這いつくばって登ることに。


 薄くなる空気、嫌な予感。高山病。いたるところで見かける酸素缶。暗示をかけられているかのようで。
 本八合目で諦め、寝ることにした。山頂までも雲のなかに飲み込まれているのだ。





 次の日は、昨日の事がうそだったように晴れていて、眼下に雲海が見える。ぼくの体調も快復していた。
 下山し、温泉に浸かり、帰宅。


 なにか、見ることのできない、一種の地獄を、垣間見れただけで、ぼくは満足でした。