りとすら

書きたいことがあんまりありません

ゲームはプレイヤーによって千変万化するインタラクティブメディアである―――「メタルギアソリッド4」『MGS4』

 この記事は、極めて激しいネタばれを含みます。

 発売日6月12日にAmazonからペリカン便で届き、昨日15日に1週目をクリアしました。プレイ時間16時間弱、称号はローリングしすぎらしく「FROG」でした。カエルの称号があるとは!

ストーリーとゲームのバランス

 メタルギアシリーズの素晴らしいところは、なんといってもストーリーとゲームとのバランスにあります。
 従来のアクションゲームといえば、とにかく目前の敵を倒していくマッチョなゲームです。そのアクションゲームというジャンルにストーリー性を明確に持ち込んだのがメタルギアシリーズでした。


 主人公のスネークは、いつも単独潜入。武器は現地調達。助けてくれるのは後方支援の無線のみ。そんな無味無臭の主人公を設定することで、プレイヤーはすんなりとゲームに入っていくことができました。
 ゲームを進めるにつれ、現実での戦争に対する問題、「統制」に関する問題など、さまざまな社会問題を考えてしまうストーリーがゲームに対する熱中性を高めていきました。


 しかし、この4はいままでの作品の総集編。いわばエンディングのパートです。結論を、結末を用意しなければいけません。
 そのために、いままで無線でしか出てこなかったキャラクターが総出演してきます。


 MGS1からは無線オペレーター。MGS2からは雷電の彼女。
 それだけではありません。今まで倒してきたボスや敵キャラも、すべてと言っていいほど出演してきます。まるでスタッフロールを見ているように。
 登場総数は100名を超えるのではないでしょうか。


 そのキャラクターたちの幕引きのために、MGS4では膨大なムービー時間が割かれることになりました。約8時間。これはプレイ時間の約半分に匹敵します。


 しかし膨大なムービーによって伏線を回収しているつもりが、プレイヤーのメタルギアシリーズに関する情報、認識、記憶には偏りがあります。
 そのなかで勝手に伏線を回収していくことは、はたしてプレイヤーにやさしいのかどうか、判断が分かれるところだと言えましょう。


 ストーリーとゲームのバランスから言えば、今作「MGS4」はシンプルでわかりやすい物語だった「MGS3」を超えることはできないと思います。

アクション

 前作3も相当なグラフィックでしたが、今作はプラットフォームをPS3に移し格段に画質がアップしています。しかし、この性能はテレビの性能にも依存するわけで、もうこれ以上のグラフィックは求められていないのかもしれません。


 そこで意味を持ってくるのが、格段にグレードアップしたアクションシーン・ムービーです。
 雷電と月光のチャンバラシーン、ヴァンプとの戦い。リキッド包囲のシーン。など見どころには事欠きません。
 メリルとアキバのガンアクションなんかは、「Mr&Mrsスミス」を思い起こしてしまいます。


 アクションシーンは圧巻の一言で、ストーリーだけに依存しないMGS4の制作スタンスが伺えます。ぼくが二週目をプレイしたとしても、スキップせずに見てしまうくらいに。

ゲーム性について

 さてそろそろ本題に入りましょう。


 今作においても、かくれんぼアクション、ステルスアクションという「メタルギア」というゲームが作り出した独特の緊張感は健在です。


 しかし、製作者サイドの意図にかかわらず、ゲームはプレイされるものです。ゲームはインタラクティブなメディアなので、10人いれば10通りの遊び方ができます。
 メタルギアに限って言えば、かくれんぼをしても、しないでプレイしても、それはプレーヤーの自由です。


 初心者はかくれんぼのことなんか考えなくてもいいのです。見つかってもどうでもいいから、とにかくクリアだけを目指すこともできる。それがメタルギアのユーザーの幅を保っているとも言えましょう。
 ドレビンという武器ショップが開設されたことにより、初心者はグレネードランチャーをほぼ弾薬無制限で使うことができてしまいます。


 しかし、そこはゲームです。さまざまな遊び方ができる。
 かくれんぼに徹してプレイすれば、敵兵の周回ルートや癖を見出し、その隙を縫って動きまわる潜入感覚を味わうことができます。
 特に今作では「オクトカム」という新システムを導入したことにより、MGS3で好評だったカモフラージュシステムをより簡単に、深く味わうことができます。
 また、敵兵は匂いを感じることもできます。ごみ箱に隠れた後は気をつけなければいけません。


 マップデザインも徹頭徹尾で細かいものになっています。物陰を探すことが難しい。上級プレイヤーは前作までではなかった「隠れ場所を割り出すこと」から始めなければいけません。
 段ボールやドラム缶を利用することもできますが、それだけでは面白くない。そんなプレイヤーにとっても遊びがいがあると言えましょう。


 ゲームの舞台も多岐にわたっています。市街地での戦争状態への潜入から、東欧の霞がかかった街での尾行、潜水艦に乗り込んでの戦闘まで、その状況に応じた戦い方・振る舞い方を考えないといけません。それがまた、楽しい。


 忘れてはいけないのが、今作で初登場の「無人兵器」の存在です。スターウォーズのAT-STのような「月光」が特に印象的。なぜか人工筋肉を使っているためか、足の筋肉部分にだけ麻酔銃が利きます。
 無人兵器には基本的にはスタン系の武器が利きません。コイツがやっかいでスタングレネード乱射という戦い方がしにくくなっています。
 ここでもまたプレイヤーは遊び方を見つけ出さなければいけません。めんどうであれば、制圧してもかまわないですけど。


 以上のように、今作はそのユーザー層の厚さを認識したゲームの作りになっていると言えるでしょう。初心者からヘビーゲーマーまで楽しめると言えます。
 その根幹をになっているのが「ドレビン」こと武器ショップの存在です。

武器

 今回の作品では、武器の取得方法が異なっています。


 ほとんどの敵は倒すと武器本体を落とします。プレイヤーが調達しすぎた武器は、自動的にポイントに変換されることになります。
 ショップはポーズメニューからいくらでも呼び出すことができます。あまったポイントを使って武器の購入から、弾薬の購入までできてしまいます。


 このショップが熱い。ピストルにしてみても5種類くらい存在します。*1
 武器は取得のみではなく、サイレンサーやレーザースコープ、グリップ、ライトなどの付属品によって状況に応じたカスタマイズができるようになっています。


 武器のショップがユーザーにもたらしたのは、圧倒的なプレイの幅です。むしろ、この武器の多様性がなければ、幅の広い遊び方はできなかった、と言い切ってもいいと思います。

総評

 ストーリーは初心者やライトユーザーにはやや解りづらいものになってはいますが、ゲームの面白さは健在です。
 その遊び方の幅を知ってしまえば、ユーザーは自分なりの遊び方を見つける遊びもできてしまうことになります。


 二週目からは有名アイテム「無限バンダナ」と「ステルス迷彩」が武器ショップで購入することができます。これを生かして遊ぶこともできるでしょう。


 さて僕はこれから二週目に取り組もうと思っています。
 遊び方ですか?それを考える遊びから始めようと思っています。では。

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*1:ちなみに高額アイテムに火縄銃も存在する