りとすら

書きたいことがあんまりありません

とてもつまらない

 早くもエントリーシートで一社落としたぼくは、思わず声に出して言った。
「慣れてきてしまっている」
 

 就職活動の初歩の初歩として自己分析が大切だという宣伝をいたるところで目にして、耳にしたせいで、自分の過去を振り返ってみたら、高校生の時のみずみずしさだとか、爆ぜるような感情はいったいどこへいってしまったんだろうと思った。飼いならされた羊。高度資本主義社会。欲望が自動化されている。感情なんてなかったかのように。夢も希望も、なかったかのように。
 やりたいことも夢も思い出せない。逆に、今の自分にそんなものがないことを思い出す。理想のようなものと呼べるようなものを思い出せない。強いて言うなら、できるだけ早く死にたい。幸福な死を迎えたいと思っている。それが一番納得できる夢だ。自殺志望者が線路に飛び込むスピード。それはねじを巻くスピードと同じ。甘えるな。
 踊り続ける必要がある。頭のなかでメランコリーという単語が回転している。こちら側にいるためにぼくに何ができるのか。


 「スポイルされてしまっているんだ」と言う。
 真面目だとこちらを評する相手は、きっとぼくのことを生真面目で生きづらそうで大変そうだとでも思っている。でもぼくは自分のことを極めて適当な人間だと思っている。そこらへんのことをみんなに聞いて回らなきゃいけない気がする。