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ディズニーとスタジオジブリ―――星野康二さん

 授業で現スタジオジブリ代表取締役、星野康二さん(以下敬称略)の講演(授業)があった。以下、略歴。

1956年札幌市生まれ。米国ニューヨーク州立大学でMBA(経営学修士号)を取得。米国の建材メーカーやカーナビゲーション・メーカーを経て、90年にウォルト・ディズニー・ジャパンに入社。2000年に社長、2007年には会長に就任。2008年2月、スタジオジブリ社長に就いた。

 では授業の内容をまとめる。

ディズニー成功の理由

 1930年代からはじまるディズニーアニメーションの歴史は、その時代的背景を伴って、戦争で疲弊した世界中の人たちに共通して、「夢は必ずかなう」というウォルトのメッセージがファンタジーとして広く受け入れられていった。森光子もそんなディズニーに影響を受けた一人。
 ウォルトの死後、停滞するディズニーに対してテイクオーバーの話が持ち上がる。それほど疲弊したディズニーは東京ディズニーランドのライセンスを、オリエンタルランドに任せることになる。これが現地化を招き、東京ディズニーランドの成功の一因となったと言えるのかもしれない。
 1984年、ディズニーは経営陣の総取替えを行う。ウォルトの原点に戻るために、4つの事業を展開する。『リトルマーメイド』『美女と野獣』『ライオンキング』『アラジン』などの良質なアニメーションの制作、ピクサーとの連携によるデジタルアニメへの進出、ディズニーストアの開設、VHSビデオによるコンテンツ販売である。
 コンテンツビジネスの一貫モデルの先駆者となる。

スタジオジブリとディズニーの出会い

 ディズニービデオが絶好調の時、ディズニーにてジブリの話が持ち上がり、星野がジブリにトトロのビデオ化の話をしに出向く。何度も門前払いを食らうなか、95年末に鈴木敏夫から一本の電話が。
 当時のジブリは『もののけ姫』の制作中で、製作費が20億円を超えていた。鈴木は言った。


 「ディズニーが『もののけ姫』を世界配給してくれるなら、トトロのビデオ化をまかせる」と。


 やりたいと即答してしまった星野は関係者を説得し96年にジブリとディズニーの契約が結ばれた。97年、一般家庭用ビデオ『となりのトトロ』を発売。100万本の売上に、加えて『もののけ姫』は1330万人の動員を記録する。

ジブリの魅力と世界展開

 この10数年、世界で「メイドインジャパン」だとわからない形で、ジブリにとどまらず日本のコンテンツが配信されている。アメリカでも、ビジネスサイドの人間とアニメーターとの差が埋まりつつあることを、星野は肌をもって感じたという。
 いま星野が取り組んでいるのは『崖の上のポニョ』の英語吹き替え。日本語を英語にし、それを更に適した英語に翻訳する。適した声優の起用まで一貫した取り組みである。
 星野は言う

「文化的に流れる伏流水がやっと前に出てきた感触がある」

と。

Q&A

  • 全世界でジブリは興行的成功をおさめていないように思うが

フランス、韓国、香港、台湾ではジブリは興行的にも成功を収めている。今回のポニョは、そのほかの海外のパートナーも熱心すぎるほど動いてくれており手ごたえを感じている。アカデミー賞も狙って行きたい。

ディズニーとの差を感じる。「まずは良い作品を作りたい」という欲求が高い。ジブリには通常企業のような5カ年計画が存在しない(笑)

レベルファイブ二ノ国』、ハウス食品のCM、美術館(三鷹、『レイアウト展』)など多様な展開はあると思うが、あまり収益を考えていないのがジブリらしいところではあると思う(笑)

  • 海外のアニメは日本では評価されていないが

『カンフーパンダ』は世界的にヒットしているが・・・むしろ日本で海外アニメがヒットしない理由を教えてほしいくらい(笑)

  • ジブリが小金井にずっと居を構えているのは

不便ではある(笑)でも東京で何もない所に身を置いている必要性も感じる。社風との兼ね合いもあるだろう。

感想

 ジブリもそうだけど、日本のアニメ制作会社は金もうけヘタだなぁ・・・ま、ぼくは良質のアニメが見られれば、それで満足ですが・・・


 ジブリのスタッフが高齢化して人件費が膨張するなか、きちんとスタジオを維持してけるのかどうか、それをキチンと考えてほしいものだけれど。不安。