りとすら

書きたいことがあんまりありません

不安しかない

ひどい夢を見て、いま眠れずに寒い部屋の中で目が冴えている。

 

夢の中では、両親が新しいコンクリートを主体とした映画に出てくるような家に引っ越していて、庭にはプールがあった。

両親は相変わらず、どこか神経質そうに暮らしていて、朝目覚めた僕は、両親の代わりに部屋を掃除していたが、その掃除の方法が違うと、何度も罵られる。

(その新しい家では、なぜだかホースから出てくる水で、すべての掃除ができるようになっていて、ごみを一か所にまとめて捨てる形式をとっていた。それは家全体が風呂場のようなつくりだった。床は乾いている)

 

いたたまれなくなった僕は、その家を飛び出そうと玄関に向かうが、うまく言葉が出てこず、その場に立ちすくむ。

 

母が鬼のような顔をしながら僕に言う。

「ほんとうは貴方のことは好きじゃないの。弟の方が手間がかかるけど、可愛いもの。」

僕は精一杯「もう二度とこんな家に来ない」と泣きながら言おうとするが、耳が遠くなり、言葉が出てこない。

 

どうしようもなくなった僕は、庭のプールに身を投げうち、息ができなくなったところで目が覚めた。

 

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明日は祖父が施設に入っているので、ひさしぶりに顔を出しに行く。

弟は転職するらしい。

僕は実家を出て、あまり実家に寄り付かなくなったが、弟は両親とよくケンカするにも関わらず、よく実家に帰っているようだ。

僕は実家にある自分の荷物を全部引越しの際に動かしてしまったせいか、自分の家である感覚が日に日になくなっている。加えて、徐々に硬直化していく両親に会うのが若干苦手で、足が遠のいている。

嫁が僕に言って、ずっと心の片隅に引っかかっている「弟の方が可愛いんじゃない」というセリフがいまだに頭の中にこびりついていて離れない。

そんな嫁は、弟の結婚式の際に引き出物の作法が誤っているという件で揉めて以来、弟夫婦とは関係がない状態が続いている。

嫁はうちの両親が苦手だ。それと同時にうちの両親もだぶんそうだ。

 

こんなはずじゃなかったと、なんど思ったことかわからないが、次生まれ変わったら、パートナーの家族と仲良くいられる相手と巡り合いたい。

ずっと会い続けるのは大変だしつらいけど、どう頑張っても自分の親ではあるし、愛している。こんな鬱屈した感情と付き合ってくれる相手。それは高望み過ぎるだろうか。

難しいのであれば、せめて理解できる相手は難しいだろうか。

 

嫁のお腹には二人目の命が宿っていて、そろそろ家でも買いたいねという話も出始めている。もう自分の為だけに生きているわけではない今、その将来への不安が夢となって出てきたのか。

自分だけの人生は、もういろんな人の人生になり、そうして歳を重ねていくのかもしれない。

 

答えはみつからないまま、季節は夏に変わる手前まで来ている。