りとすら

書きたいことがあんまりありません

なんだかぼくはひどく疲れてしまったのだ「ノルウェイの森」を見て。やれやれ。

 眠気と戦う二時間でした。
 村上春樹の大ヒットベストセラー「ノルウェイの森」を禁断の映画化。ということもあって、駄作だろうが何だろうが観に行かなきゃならない全国のハルキストの皆様、大変お疲れ様でした。

ワタナベ(松山ケンイチ)は唯一の親友であるキズキ(高良健吾)を自殺で失い、知り合いの誰もいない東京で大学生活を始める。そんなある日、キズキの恋人だった直子(菊地凛子)と再会。二人は頻繁に会うようになるが、心を病んだ直子は京都の病院に入院してしまう。そして、ワタナベは大学で出会った緑(水原希子)にも惹(ひ)かれていき……。

 原作を読んでから5年以上の歳月を経過している今では、私が原作と比較して云々とか言えないので、単純に映画としての感想を。

セックス

 もともと村上作品自体が、ダメな主人公の主観でしか世界が語られていないこともあって、嫌悪感を示す人(特に女性」)は多いように思います。(「セックスセックスってうっせーよ」っつって。)
 村上ワールドでは基本的にフリーセックスなので、この映画のセックス描写も、あるんだろーなー。って思ってたんですが、いかんせん描写が露悪的。露悪的にセックス映さなくても良いのでは?と見ながらに思いました。原作では「イメージとしてのセックス」だったものが、「肉欲をむさぼり合うもの」としか映ってなかった。


 元来、日本映画ではセックスって一種のピークであって、この映画でそこかしこに詰め込まれている「主人公一人称視点での感傷のイメージ」とは程遠いように思います。そこがこの映画を見ていて一番疲れる原因でした。菊地凛子にも賛否分かれそうですが、外国人から見る菊地凛子のいびつなイメージってこういう風に映るのかなぁと納得。だが断る
 菊地凛子って素晴らしい女優なんかじゃなく、外国人から見て使いやすいいびつなイメージを持った女優ってだけなのかしらん。

キャスト

 菊地凛子は違う気がするんだよなー。やっぱり。蒼井優とかでいいんでないか?
 その点、松山ケンイチはぱっとしないのにモテるところが、いかにも村上作品の主人公っぽくて素敵でした。これは凄い。
 弟と話していて、加瀬亮でも良いんじゃねーかって話になりましたが。


 レイコ先生役の霧島レイカは違和感なかったけど、麻生久美子あたりか、吉瀬美智子だとハマってたかも。それか、もちっと年上?


 永沢さん役の玉山鉄二は体の感じが存在感素晴らしく。佐々木蔵之介堺雅人あたりかなーと思ってました。すみません。

「ま、幸せになれよ。いろいろとありそうだけれど、お前も相当に頑固だからなんとかうまくやれると思うよ。ひとつ忠告していいかな、俺から」
「いいですよ」
「自分に同情するな」と彼は言った。「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」
―――村上春樹ノルウェイの森(下)』p169より
―――ちなみにで私が一番好きなのは永沢さんです。彼はカッコいい。

 ハツミ役の初音映莉子、輝いていましたね。この映画で安心感もって見れたのは永沢さんとハツミが映ってる瞬間だけだったように思います。


 最後に。
  緑役の水原希子の持つ存在感って危うげだけど輝いていて。セリフ回しとか難ありでここも賛否両論でしょうが、緑の持つ「みずみずしさ」「生命力」こそ、ノルウェイの森が持つ光で、ここはこの子しか居なかった気がする。


 暴言を覚悟して言えば

緑=アスカ
直子=綾波

 です。なので、私は緑派です。

スタッフ

 監督の投げっぷりには脱帽。チェンジ。
 特に、舞台っぽい緑とワタナベの絡みのシーンとか意味不明すぎ。チェンジ。

総評

 「日本映画界に求められているセックス」と「村上作品に求められてるセックス」と「監督の描いているセックス」が一致してなかったのと、無駄に演技的で感傷的なカットを遣いすぎた監督に猛省が求められる。
 一度見て文句言うのは良いと思うけど、DVDは買わないし、二度と見に行く気もしないよ!!


 非常に疲れるだけで、1700円もあれば、原作買ったほうが良い!!