りとすら

書きたいことがあんまりありません

日本サブカルチャーのオリジナリティ―――井上伸一郎さん

 10月22日付の授業、角川書店代表取締役井上伸一郎さんの講演。

大学卒業後、角川書店に就職し1985年よりアニメ雑誌『月刊ニュータイプ』の創刊にスタッフとして参加し、1987年より同誌編集長に就任。以後、女性情報誌『Chou Chou』、漫画雑誌『月刊少年エース』等の編集長を歴任。
NHK-BS2で放送されるアニメ特番には知恵袋的存在として15年以上も長く出演している。
2000年、角川書店アニメ・コミック事業事業部長就任。2007年、角川書店のグループ持株会社化に伴う角川書店(新社)の代表取締役社長に就任。
―――井上伸一郎 - Wikipedia

 『テレビジョン』のアルバイトからの叩き上げだそうです。

まずは自社の宣伝から―――角川グループの歴史

1945 角川源義(国文学者)が出版社を立ち上げ
1976 角川映画第一作『犬神家の一族
    角川文庫、横溝正史の販売部数が1800万部に→メディアミックスの原型を作る
 また、「文庫」を創設、「全集」を創設→角川グループのクリエイティビティの原型として
 『ザ・テレビジョン』『コンプティーク』『ニュータイプ』『CDでーた』『ビデオでーた』『東京ウォーカー』などを次々と作っていく。メガコンテンツプロバイダーとしての地位を確立する。

海外でのコンテンツがどんなふーに受けているのか?

 今回紹介するのは、マンガ、ライトノベル、Jホラー、BLの4つ。
 一般文芸を海外に翻訳して持っていこうとする試みもあったが、翻訳のハードルが高いことが難点になっている。

  1. MANGA

 欧米では「漫画雑誌」を大手出版社が出版していない。
 日本では雑誌そのものの売り上げだけでコストを回収できずコミックスで回収するビジネスモデルが確立されている。看板作品は数作品だけ良く、新人を育てていく土壌が整っていると言えるのでは。

    1. スポーツ
    2. 恋愛、学園
    3. 忍者→SF
    4. ギャグ(コメディ)

 の4要素を複合的にミックスさせた作品を作れるのは、日本MANGAの特徴となっている。

  1. ライトノベル

1970年代前半から80年代前半 SFブーム。
 『スターウォーズ』、新井素子吾妻ひでお、などのSF世代。マンガのイラストが付いた小説として登場した。例:『デューン砂の惑星』に石ノ森章太郎
1980から80年代後半 アニメのノベライズがさかんに。
 ヤマトのノベライズは失敗したが、ガンダムのノベライズは成功した。
→ファンのニーズに応えるノベライズをしていくことが求められている。
1980年代中から90年代前半 ファンタジーブーム。
 『ダンジョン&ドラゴンズ』『ロードス島戦記』など。また、1983年ファミコン発売。『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー


 青春小説、少女小説コバルト文庫)、耽美小説(『JUNE』、ロマン主義から同性愛・・・後のBLに。栗本薫。)、ミステリ。
ライトノベルはジャンルではなく、様々なジャンル小説が統合されたフィールドを形成している。

  1. Jホラー
  2. BL

純情ロマンチカ』『きみが恋に堕ちる』『ウワサの二人』『タクミくんシリーズ』など
 BLは恋愛の表現形式として婉曲的な表現形式を取ることによって、表現の豊かさを確保しているという説もあるが・・・売れていることは確かなことです。

2Dアニメ

 長編アニメから*1ロトスコープ(モーションピクチャーの原型)も利用した本格的な実写志向→やがてキャラクター路線へ

 日本のアニメ制作を安くした。鉄腕アトムをアニメ化するために「一本50万円で!」と手塚治が言ったために・・・
 ちなみに今なら1本制作に1000万から1400万、1500万ほどかかります(汗

 挿絵画家が創業したこともあり、「骨」のある画を得意とする。

特徴
  1. 映画・映像志向

 手塚治から脈々と引き継がれている「映画化」志向は、海外のカートゥーンとは大幅に異なる傾向である。

  1. タツノコ的(挿絵)

 骨のあるキャラクターを表現。

  1. SF作品=ロボットなどの複雑な動き

 京アニフルメタルパニック

  1. スポーツ系=人間の動きを的確に表現する表現力
  2. コンテ・レイアウトの進化、リミテッドアニメ*2

 動きではなく、演出方法によって処理する。止めと動きによって表現する。 日本のアニメは、緻密で、感情をよく表現している。

インターネットメディアとの向き合い方―――Youtube(ここが他のトコと角川の違いだよ!的なアピール)

 「動画識別技術」を開発し、投稿されたコンテンツを自動認識。オリジナルの作品との違いを見分け、まんまうpをみつけたら削除している。その費用は角川もち。
 しかし!角川はMADは許可していく方針にいる。アニメのノベライズでも感じたが、そこに「愛があるか」という視点でいる。


 新たなコンテンツパートナーとして角川グループの公式ページを作成。

  • メディア&アドタイズ事業
  • 優秀なクリエイター発掘のキャンペーンの展開


 曰く、「新しいメディアは規制できない。これをどうやって生かしていけるのか考えるべきである」とのこと。CDに対するレコード会社の人の対応には、井上社長も「馬鹿かこいつら」と思ったそうです。