- 作者: 押井守
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/08/06
- メディア: 単行本
- 購入: 7人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
「空気感を作る」って意味では加瀬亮が良い仕事をしていた気がするけど、そもそも淡々とし過ぎている映画はどうなんだろうか。何かに対して鬱憤を晴らしたりしなくていいんだろうか。安っぽくてもいいからチープで平坦な日常っぽさを前面に押し出して欲しかった。
何が不満かって、「声高に叫ぶ空虚な正義や、紋切り型の励ましではなく、静かだけど確かな真実の希望を伝えたいのです」って言ってるにも関わらず、表現として強度が足りていないところがツマラなくさせてしまっているんじゃないかって。
「若者に対して希望を持ってほしい」と願っている映画はたくさん見てきたけど、それを作ってんのは40や50をすぎたオッサンで、てめーらの言うことなんか聞いてやんねー、ってとこがあって見ているからイマイチ伝わってこない。
むしろ今のご時世に若者に対して何かアプローチしたいのならば、「あえて説教する」ことが必要なんじゃないかと、僕なんかは考えてしまう。
『大いなる陰謀』を見た時なんかは、本当にそう考えてしまって、なんで映画のメッセージはたいてい切り落とされてしまうんだろうか。それはヤツらの熱意がこっちに伝わってこないからなんじゃないかと思う。不器用でも良いから積極的にこちら側に働きかけてくれる説教臭さ、強度をもったコミットメント。
それができないんなら、違う映画を目指すべきじゃないのか。
「静かなメッセージ」と言ってしまう日本語は綺麗だけれど、そんなもんは現実には存在しねぇっつう。