りとすら

書きたいことがあんまりありません

カメラワークのみ『百万円と苦虫女』

大卒業後、就職もできずにアルバイト生活を送っている鈴子。ひょんな事件に巻き込まれ傷ついた彼女は、家族のもとを離れ、人との関わりを避けるように百万円が貯まるたびに誰も知らない土地へと移り住むことにする。百万円あれば、アパートを借り、なんとか1人暮らしできるから。海の家、桃畑、行く先々で働きながら様々な人たちと出会う。屈託なく話しかけてくる今どきの青年にはつれない態度をとっても、田舎の人の親切さには内心ほろりとする。そしてまた次の土地へ移動した鈴子を待っていたのは、甘酸っぱくも幸せな恋だった!
旅する鈴子の持ち物は、自分で縫ったカーテンとわずかな衣服だけ。1日中もくもくと働いて帰るのは、がらんどうのアパートの部屋だ。その何もない空間が鈴子には心地いい。“自分探しなんて、したくない”と言う鈴子は、自分を閉ざすことで心のリハビリをしているのだ。旅が進むにつれてあるがままの自分を受け入れていく鈴子がラストで見せる表情は、すべての観客への心地よいエールとなるだろう。

今、最も輝いている蒼井優の3年ぶり、待望の映画主演作。人と接するのが苦手で不器用な鈴子を、豊かな演技力で共感を呼ぶ新鮮なヒロイン像に作り上げ魅了する。鈴子に惹かれる大学生、中島を演じるのは『世界の中心で、愛をさけぶ』の森山未來。無骨ながら心優しい桃畑の男、春夫を演じるのはピエール瀧。本作を監督したのは、『さくらん』の脚本や『月とチェリー』などを手掛け、注目のタナダユキ。自身のオリジナル脚本で等身大の女の子を繊細かつユーモラスに描き、新たな傑作を誕生させた。そして人気バンド、クラムボンのボーカル、原田郁子が本作のためにソロで初めて書き下ろした主題歌は、鈴子の明日を祝福して、すがすがしい余韻を残す。


(C)「百万円と苦虫女」製作委員会

 カメラワークが上手くてミスリードされっぱなし。
 ただストーリーに骨がなく、ただ単調。うすっぺらい。