知り合いの女性編集さんとの会話中で出てきたので。そろそろ読まなきゃな、と。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 文庫
- 購入: 74人 クリック: 444回
- この商品を含むブログ (733件) を見る
モテない男たち(はてな村では非モテと呼ぶのか・・・)の繰り広げる活劇。
モテることに対する心理的障壁を自ら用意することによって、モテないダメージを最小限にとどめようとする理論武装は、年ごろの男なら誰でもやってしまう。
現代の風潮が恋愛礼賛の傾向にあるとしても、そもそも理不尽な常道である恋愛を讃えている危険性を把握せねばなるまい。人間の底にある暗い衝動を、いくら甘い言葉飾っていても、ときにはそれはすべてをかなぐり捨て、本性をむき出しにする。いざその狂気に直面し、こんなはずではないと呻いたところで手遅れである。
しかし。
しかし、時には型にはまった幸せも良いと、我々は呟いたこともあったのではないか。
緻密にレトリックが入り組んだ文体はオタク的な非モテ感を増長させる良い結果を生み出していて、引きずり込まれるように読んだ。
必死に恋愛を否定しようとしているんだけど、やっぱモテたいんだと思う。そんなもんだと思うし。
現代日本社会、ことに一定年齢以下の世代においては、恋愛及び性が最大の関心事の一つとなっており、それらの分野における経験の多寡は、時として人間性の優劣と同一視される。このような暗黙の了解は、既に環境型セクハラの構成要件を満たしており、従ってこの「ラブハラスメント」は特定の環境下における問題ではなく、むしろ現代日本社会が殆ど至る所で引き起こしている矛盾であるといえる。
―――ScarecrowboneLog
―――ラブハラスメントとは - はてなキーワード
非モテmapによると、ラブハラ被害者派かな。ここから拒モテ派や恋愛トラウマ派に行くと取り返しがつかなくなる。
カタストロフ不足で読後感が味気ないので、主人公の再生物語として徹頭徹尾書くべきなのかと思いつつ、それだと非モテ(喪男)にならないから、こんな微妙な着地点。
主人公が大学生ってのが足かせかも。夢を見ていたらイタイ年頃だし。
他の作品も読んでみたい。