りとすら

書きたいことがあんまりありません

僕らが知れなかった史実『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』

ベトナム戦争、パリの5月革命、中国文化大革命など、世界中が大きなうねりの中にいた1960年代。日本でも学生運動が熱を帯び、連合赤軍が結成された。革命戦士を志した坂口弘ARATA)や永田洋子(並木愛枝)ら若者たちは、山岳ベースを設置し訓練をはじめる。厳しい訓練に追い詰められ、メンバーによる仲間同士の粛正が壮絶を極めていく。

 なんだかんだ言ってエンターテイメントだった『突入せよ!「あさま山荘」事件』と違って、ホンモノの史実を年代別に淡々と並べたドキュメンタリータッチの映像作品。
 ぼくの世代じゃ、知りたいと思っていても知る機会がない、もしくは知る労力がかかりすぎる、ということがおおすぎて結論から言うと「学生運動」とは何だったのかということを知らんのだよ。失礼な話ですけどこれが現実。


 3時間にわたる骨太な映画のなかで、彼ら大学生の怒りがどこに向かっていたのか気になって、2回ほど涙ぐんでしまった。「怒りの対象性の不在」っていう点で共感ファクターかも。
 史実を認識することと、映画というフィクションとして影響を受けること、どっちも受け取れた厚みのある作品。


 権力に飼いならされること。理想的革命平和世界の実現。平和ボケすること。跳躍のための総括。当時とは対照的なヌルい時代になってしまいましたね。

 こんな僕だって、少なくとも覚えていることがある。
 ウチの大学にはいまだに生協がない、その理由。学園祭が復活したのはつい最近だという、その理由。学校の正門の前には立ち入り禁止の名前が掲示され続けている、その理由。


 こんな時代認識すら忘れてしまっている同級生を嘆くよりもまず、権力がこういった事実を隠しているという権力闘争に学生たちの断続的な武装蜂起を用いて断固拒否していかなければいけない!ということには・・・ならないよね。
 しょせん僕も大学という装置に飼いならされてしまっているからな。大学を出たら会社に飼いならされないように、クールにいこうな。