りとすら

書きたいことがあんまりありません

鈴木謙介『ウェブ社会の思想 〈遍在する私〉をどう生きるか』その2

鈴木謙介『ウェブ社会の思想 <遍在する私>をどう生きるか』その1 - りとすら


前述したとおり
本書の最も大切な部分、工学的民主主義と数学的民主主義、その未来について。


ユビキタス社会などの
コンテクスト・アウェアネスの技術が進めば進むほど
前景化してくる問題があって、
それは、そのアーキテクチャをどういった思想でくみ上げるかという問題である。


そのパターンには大きく分けて2つのタイプがあり、
設計者が、参加者に対して強制をするのか、
利己的行動を促すのかで異なってくる。


前者の強制タイプでは

設計者がアーキテクチャを「公共的意志に基づく設計」をし、
参加者に民主的な意志の強制を強いることによって
民主主義へのコミットメントを果たそうとするものである。

しかし、この理論には重大な矛盾があり、
強制されたコミットメントによって
民主主義は担保されない。


また、真に公的な意志という概念自体が
実現不可能な夢物語でしかない。


著者によれば、
こうした自閉的なシステムは「セカイ系」に通じる「夢」だという。


一方の後者では、

設計者はアーキテクチャを「利己的行動を促す設計」をし
自動化された環境提示が行われることによって
利己的な行動によるコミットメントが得られるというものである。

このシステムでは究極の完成形をもたず
「現実と共存するアーキテクチャ」があり得るだろう。


しかし、その意味づけは
われわれの現実とその判断が時代や場面によって変化していく。


こうした「わたしの前に立ちまわってくる《わたし》」
に対して、ど抗っていくのか。


しかし、こうした「宿命」と「成長」に否定できないものが存在し、それは

「時間的な持続」にある。

本書の内容は以上。






アマゾンのおすすめシステムにはじまり
はてなのアンテナだったり、ブックマークを自動的にとばすシステムだったり
あらゆるところに技術が浸透し、
我々を補助するべく、先回りしてくれる。


それは便利で、簡単なのだけれど、
こういったシステムが政治の場面だとかにも浸透してきたらどうだろう。
たとえば、日常生活の購買行動から
「おススメの政治家」!!みたいな。


アーキテクチャの問題については
チェックしていく必要があるし、
マーケットとしても
とてつもない爆発力を秘めている。


最後にあの有名なフラッシュを。EPIC 2014