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制服少女たちの選択―After 10 Years (朝日文庫)

制服少女たちの選択―After 10 Years (朝日文庫)

今回は内容を。


90年代初頭に繰り広げられた援助交際についての暴露論争と
それをめぐるインタビューによって宮台はこう言っていた。
「少女たちは傷ついていない」と。


だが10年たったいま、再び話を聞いてみると
だいたいの人が表現関係の仕事かメンタルヘルス系になってしまっている。
この圧倒的現実。


宮台本人にしたって、「転向」と呼ばれ最近めっきり振るわなくなった。
それは彼の「まったり革命」への敗北だったのではないか。
94年の新宿デートクラブ摘発をきっかけに出てくる援交第二世代は
いままでの少女たちのもつ自意識のそれとはかけ離れるものをもっていて、
宮台はそれに対応できなかったと正直に告白している。



こういった宮台真司の転向劇として10年間の歩みが確認できるとともに、
やはり忘れてはならないのが「社会システム理論」としての基礎概念についての記述である。


「それでも社会は回る」
これが社会学の教義である。

「親が悪い」「いや、学校が悪い」
「なんといってもブルセラショップなどの悪徳業者が割悪い」
「いや、そもそも金儲け主義をはびこらせる消費社会や資本主義が悪い」といったコミュニケーションを
社会システム理論では「外部帰属化」という。
すなわち、もっとも低いコストでわかりやすい因果帰属ををこない、
本質的な意味で、
自分自身を、
無害で安全な場所に温存する「作法」のことである。

サブカルチャー史としても社会学基礎としても有用な名著。