りとすら

書きたいことがあんまりありません

「カミュなんて知らない」‐「映画」としての映画

あらすじ:
映画を作ることになった大学生たちが、教授からテーマとして渡されたのは「人殺しを経験してみたかった」とのセリフが頭にこびりつく、2000年に愛知県豊川市で起きた不条理殺人事件。この事件はアルベール・カミュの「異邦人」において“太陽がまぶしかったから”殺人を犯した主人公ムルソーを彷彿とさせるものだった。大学生として青春らしく(!?)ドロドロと寝ただのキスしただので物語はすすんでいく。だんだんと無理が出てくる人間関係と、それに対応するように複雑化していく登場人物たちそれぞれの思考。日常生活が滑稽に破壊され、物語は時間的強制力によって映画のクランクインを迎える。民家にてロケを行い、映画を撮る中で・・・

 役者は、監督でもある主人公(柏原収史)の偏執的な彼女役に吉川ひなの。助監督役に『はみだし刑事情熱系』の前田愛。その恋人役の山岳部キャプテンに玉山鉄二


 劇中ですごく気になる役者はずばり中泉英雄。この俳優は凄いな。なんつーか魅せるチカラがあると思う。今後も引っ掻き回してくれることを期待。


 ・・・にしても素晴らしい「映画」。「映画」としての魅せ方ってこうなんだなぁっていう。青春群像劇としては散漫な印象を受けてしまったのは音の多用のせいだと思う。劇中エキストラが多すぎるのも散漫さを加速させている気が・・・むしろ俺が青春群像劇の何たるかを理解してない??
 ラストのスタッフロールのあいだも余韻に浸れずに、すごく緊張感を保ったままで、客席の明かりがついたときは「おぃ!!もっと見せろよ」っていいたいくらいだった。説明たりねぇぞオイ!!っていう。


 スティーブンキングがホラードラマを作るんなら、「最後の1話以外全部を日常生活のシーンにする」っていうセリフを思い出したね。もしくは「機械仕掛けのオレンジ」とか。不条理の代表みたいな。