りとすら

書きたいことがあんまりありません

膳、角瓶、山崎、ピュアモルト

※このお話は事実に基づくフィクションです。つまんなくても責任は負えません。


「・・・」


氷の溶けかかっているグラスをカラコロさせたくなるのは、クリスタルグラスの持つ魔力以外の何者でもないと感心させられつつも、今日もグラスを転がしてしてしまう。


「どうしたの、さっきからグラスばっかりながめて?・・・あれ、もしかしてお酒入るとテンション下がるヒト??」


確かに酒が入ると、無性に端の席に行ってみんなの様子を眺めたくなる。それで向かいにディープなネタが解る友人が座っていれば最高なんだけど・・・


「そんなことないですよ。ウイスキーのグラス傾けるのってなんか好きなんですよね」
「へぇー、もしかして鬱?? おねーさんに相談してみ」
「別にそんなことないですよ。あ、ほら、呼んでますよ」


・・・彼女を輪の中心に戻す。アナタへの相談って・・・
・・・相談事ねぇ・・・そんな明確な「問題」なんてものがこの世に存在してるなら、誰も困らないと思うけどなぁ・・・問題があるなら、その解決法が見出せるでしょ。でもさ、問題がわからないっていうのが問題になってるってのがほとんどだと思うんだけどな。みんなどっかしら不安定な部分抱えてて、それをどう制していくかっていう。


・・・各々の女性に向かって「好きです」って言って、どんな反応してくれるんだろうなってのはいつも思う。面白そうで、俺のサディストな面をくすぐる。まぁ実行できるだけの度胸はないわな。





先輩の肩を叩く。
「あのー先輩」
「ん? 相談事??」



まったく、この人ってのは警戒ってモノを知らないんだから。





「先輩のことが好きです」


・・・場が凍り付いて、酔っ払いの戯言扱いされてしまったのは心外だったけれど。
けっこう楽しかったんだけどな。告白。