りとすら

書きたいことがあんまりありません

「カーニヴァル化する社会」

最近、文芸書ばっか読んでいたら
頭の中のカオスが広がっているカンジがしてて気持ち悪いので、新書を買ってみた。
新しい学問分野の入門書とかが多い新書だけど、自分としては社会学周辺を好んで読む。
動物化するポストモダン」以降にまともな新書を読んでいなかったので、
物色してみた結果、「カーニヴァル化する社会」を購入。

アイデンティティの問題を取り扱った一冊であり、
その「カーニヴァル」の構造論には多少の飛躍があるものの、面白く読めた。
現代人が総じて躁うつ病にかかってしまっている構造を論じ、セキュリティ化する社会をそれとからめ、祭りでしか過渡的に盛り上がれないということをドラスティックに描いていて、その切り口は爽快感を覚えるほどのシロモノなんだが、文才がないというか、難解な述語に囚われてしまっている素人文章っぽさが現れてしまっていたのが唯一の難点だった。

アイデンティティの喪失を感じる人にオススメできる一冊である。
まぁ、そこに自己啓発的な「救い」は存在していないのだけれど。